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BABY METAL WORLD TOUR 2015 IN JAPAN
THE FINAL CHAPTER OF TRILOGY

TMの横浜アリーナ観戦記 

 TMの横浜アリーナ観戦記 其の壱

 We Are The One! La La La La ♫
 この衝撃は初めての経験だった。

 多分みんながみんな多少の違いはあるにせよ、同じように衝撃を受けたに違いない。当初から新曲をやるだろうとか、セカンドアルバムの発表があるだろうとかは予想していた。しかしこれまで幾度となくそう言ってきたわけだから・・、何度スルーされようとも、その度に「今度は!」、「次こそは!」って言ってきた。だから何かあるだろうと考えながらも、結局何も無いのかもしれない、肩透かしを食らうに決まっているなんていうネガティブな気持ちも同じくらい持ち合わせていた。だからなのだろうか?だからこんなにも衝撃として感じたのだろうか、この新曲に・・・。

 いや違うはずだ。もっと本質的な理由に違いない。やはり驚くべきはこの新曲La La La(仮名)の持つポテンシャルだ。一度聴いたら耳から離れなくなるメロディーライン。まるで僕の耳の中に居心地の良い居場所を見つけてしまったアナグマのごとく、ずーっとずーっと居座り続けて出てこない(笑)、奥でひたすら鳴り響いている。

 We Are The One! La La La La ♫

 初めてThe Oneと呼ばれたRoad Of ResistanceがUKのO2アカデミーで初公開されたあの時の感じに近くはないか?
 確かに、あの衝撃に近いものがあったのかもしれない。でも、やっぱりちょっと違う。大分違うと思わずにはいられない。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の貳

 それはRORがIDZと同じ戦いの歌だったからだ。曲はメロディアスではあるけれど、内容は戦いの歌なのだ。「戦国WOD」まさに戦いへ狼煙を上げる歌であり、そこに安息はない。それに引き換えこの新曲は壮大な叙事詩であり、そこには和やかな安住の場所がある。RORの前振りとなる紙芝居で大映しになる「We Are The One」の4つの言葉。まさにRORでぶつかり合った乱世がこの新曲で和やかな安息へとコマを進める。一段と黒さを増した新しい衣装とは裏腹に、BABYMETALはそんな至福の歌を高らかな歌声で歌い上げる。

 We Are The One! La La La La ♫

 この安息の歌に至るまで自らの人生の半分をBABYMETALに捧げてきた。このSU-METAL、YUI-METAL、MOA-METALの3人が遂にトリロジーの時の中で長かった戦国時代を終わらせて、この新しい「黒い安息の日」を見出した。新しい時代を自分たちのあるがままの姿でここまでのし上がってきた。もう、ただ僕らはこの三人を見守るしかない。もうその存在が奇跡であり、必然である。

 第3章が終焉を迎え、これから始まる第4章をBABYMETALはどのような色に染め上げるのだろうか。それは「Only The Fox God Knows」なのだろうか。

 そんな新たな幕開けにふさわしい曲それがこの新曲であり、まさに神曲である。そんな終演に向かって、僕の体験記を下に書いてみる。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の參

 前日

 前日12日、BABYMETALの1日目の公演が行われた。僕は参戦はしなかったもののその起こったなりをネット上で垣間見ることができた。

 開幕早々、1曲目からこの新曲La La La(仮名)である。正直、見ているのはファンカムでありクウォリティーは高くない。映像はあってないようなもの。しかし「新曲であること」、「とても壮大な楽曲であること」、「まるでミュージカルのようであること」などはそれでも感じ取ることができた。それだけでも興奮するに十分なものであったし、その凄さを垣間見た気がした。しかし、本当のこの曲のポテンシャルを推し量るには13日のライブを待たなければならなかった。実際に聞くまでは本当の意味するものを理解できてはいなかった。やはりライブは別物だった、・・・当たり前の話だけれど。

 そして当初予想していた発表が無かったのだ。12日は結局のところ2曲の新曲を披露した以外、その他、何の発表もなく終った。 最近、発表されたカロライナ・レベリオンへのエントリーですら発表されなかったのだ。少なくとも北米ツアーのスケジュールくらいは発表されるだろう。そう思い込んでいたが、何もなかった。(翌翌日、公式HPに東海岸の公演スケジュールが発表された。)

 やはり、今回も何もないのかもしれない。ZEPP公演と同じ様に、ライブをして終わりなのかもしれない。これまでのライブがそうであったかのように、淡白な幕切れなのだろうか。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の肆

 当日

 13日、僕は西の果てからの遠征組であるため、横浜アリーナには昼過ぎの到着だった。横アリに着くと楽園の同胞たちと幕張以来の再会を喜び合いながら、楽しい時間を共有することができた。前日参加者からライブの情報を聞く。やはり新曲La La La(仮名)は相当良かったとのこと。「ネットで見たものと実際じゃあ天と地ほどの差があるよ。全然ちがう。」そう、でろさんから教えてもらった。

 新曲は2曲。12日と13日とでは何か変えてくるに違いない。ひょっとしたら別の曲に変えてくるのかもしれない。そんな希望的妄想が頭を持ち上げる。現実的には「アカツキ」が「悪夢の輪舞曲」に変わる程度ではないのか?
 これまでのZEPP公演を観れば明らかだろう。これまでだってずっとずっと「何かあるだろう。きっと何かあるだろう。」ずっとそう思ってきたけれど、結局のところほとんど何もなく終わってきた。きっと今回も同じだろう。そんな揺れる想いの中、横浜アリーナは開場となり、狭いエントランス前広場から我々は中に入る。ステージの辺りはスモークで薄らぼやけた感じに見え、スフィンクスを模したキツネ、スフォックスもあまり見えなかった。 これがあのアイアンメイデンの名盤パワースレイブのジャケットオマージュ、スフォックスか〜。目を凝らしながらしげしげと見る。
 
 僕の席はでろさんと同じ上手側アリーナAシート席の後方21列目。思いの外近いとはいえステージからは50mは悠に離れている。両サイドには大きなダイヤモンドビジョンがあり見えない3人の表情が大写しになる。ありがたい。(実のところあまり見なかったのだが・・)


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の伍

 客電のついた中でBGMが流れる。ピットにひとがどんどん入ってくる。さすが、回を重ねる毎に柵の整備が進化している。A、B、Cと区分された区域の前半分にまるでブックエンドの様な仕切り柵が幾重にも設けてある。圧縮の時に大変なのが横への揺れ、体制が横からの圧縮で崩れ、その体勢を戻すために視線が下に行きライブに集中ができない。そんな幕張で感じていた問題が横アリではきちっと解消されている。後ろにはモッシュッシュエリアもあり、渦の位置すらもが想定されている。

 場内はメタリカ-MASTER OF PUPPETS、メガデス-HANGER18、パンテラ-CAWBOY FROM HELL、ジュダスプリースト-PAINKILLERなどのBGMが流れている。・・アイアンメイデン-THE NUMBER OF THE BEASTときて、アナウンスが入る。ZEPPであったKOBAの前挨拶などは一切ない。アナウンスが終わると、間もなく客電が落ち開演となった。いきなり暗闇の中に出現した赤い光の中から、激し閃光の真っ白な光が踊りまくる。
 なんと! 「BABYMETAL DEATH!」からのスタートだ! このBABYMETAL最強の楽曲からスタートだ。個人的にBABYMETALのセットリストではBMDスタートが最強だと思っている。いつ聴いても素晴らしい演奏を聴かせてくれる神バンドも、今日はまた一段と気合が入っている。異常とも思える入魂の演奏が目の前で展開されている。いやはやZEPPも凄かったはずなのに、気合の入り方が今日は一段と違う。なんなんだろう。やはり、こんな素晴らしいステージを作ってもらった感謝の意味か? スフォックスの足元に設けられたブースにはまって、4人は演奏に魂を入れる。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の陸

 フロントの三人も涙目だ。続く2曲目は「ギミチョコ」である。
 長らくBABYMETALの2曲目は「いいね!!」だったが最近はこの「ギミチョコ」が二曲目になることが多い。そう言えば幕張でも「ギミチョコ」が2曲目で大荒れになった。モッシュッシュピットは濁流となって高速回転している。上から見ていると恐ろしい速さだ。ピットBが区割りからも一番大きく、一番大きな渦ができている。直で見る渦とクラウド、これこそライブの醍醐味。素晴らしかった。その中に入れなかった悔しさはあるもののこのライブに参加出来たことに深く感謝することに替えよう。みんな顔笑れ!

 やっぱり三曲目にはご当地煽りが入る「いいね!!」だった。
 煽り方も大分メタルらしい強い表現になって来た。オーディエンスの反応はいい。SU-METALも「声を出せよ!」ではなく「いいね!!」だった。
 
 続く「あわだまフィーバー」で怒涛の4連発となる。
 この時感じたのが、曲と曲との間が今日は思いの外、詰まっているな〜ということ。この割とコミカルなダンスのある曲もオーディエンスの反応がいい。大分こなれてきた感じがした。この時までモニターをあまりみていなかった。
「おっ、今日はISAO神ではなく、大神さまじゃないですか〜。」
 そのまま神バンドのソロと「Catch Me If You Can」になだれ込む。小神様の酔狂なギターと大神様の激しく高速無比なギターのハーモニクス、BOH神様の相変わらずオリエンタルなハイテクなベース、青山神様の超高速のドラミングでドコドコと打ちのめされて泥酔状態に陥る。皆、いつもはかなりおふざけな表情で楽しそうにやっているのに、今日は真剣そのもの。恐ろしく気合いが入っていて怖いくらいの入れ込みようだ。考えれば、横アリはセットにしても金かかっているし、気合いくらい幾らでもはいるよな〜ってなところか。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の漆

「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、1・2・1・2・3・4!」いつもの切れ切れのダンスにSU-METALの絶好調のボーカルが乗る。完璧!

 さて、そろそろ新曲だろうと待ち構えていると、「ウキ・ウキ★ミッドナイト」と「ドキ・ドキ☆モーニング」の二連弾だ! 超絶ハイテンションのおかげで記憶が飛ぶ。
 いつの間に横のおじさんの前に行きひんしゅくを買う。ごめん!

 気づくと神バンドの新しいソロに移っていた。なんなんだ? この怒涛の曲間圧縮攻撃は?
 息つく暇も無い。真っ暗になりSU-METALが登場する。「悪夢の輪舞曲」が始まる。

 12日は「アカツキ」で13日は「悪夢の輪舞曲」だった。もう幕張のように二曲続けて歌われることはないのだろう〜か。僕は何よりも「アカツキ」が好きであり、ZEPPのときは「アカツキ」だったからといって飛び跳ねて喜んだものだった。そしてライブでは至近距離で歌っているSU-METALをガン見して全てを脳裏に焼き付けた。今でも僕の大切な部分にその記憶をしまってある。
 だから今回は「悪夢の輪舞曲」だったことを嘆いたのかと言えばそんなことは無い。かえって良かった。「悪夢の輪舞曲」も好きな曲だったし、久しく聞けていなかったのだから良かった。想像を絶するほどに進化した「悪夢の輪舞曲」だったし、僕の「アカツキ」はもうここ(ハート)にしまってある。それに今日のこの曲はあのZEPPの「アカツキ」に迫る気迫のこもった歌だったから尚更だ。もうそれを聴けただけで満足だった。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の捌

 来る! 来る! 来る! 来る! 
 そう、ブラックベビーメタルがSU-METALに変わって現れた。最近、痩せて心配を募らせていたYUI-METALと何時でも至福の幸せを届けてくれるMOA-METALがいつも以上のパフォーマンスを届けてくれる。直に見ても見えない表情が、モニターを通してよく見える。
 凄い真剣な顔で踊る。いつもより笑顔がない代わりに、今にも泣きそうなうるうるした目が映し出されている。あのZEPP公演を見ている僕としては意外過ぎる。やはり、この公演は何時ものライブとは違う。そんな事を思いながら、NEZUさんに貰ったベビ札をでろさんと一緒に宙に投げる。シートはピットとは違いかなり暗いからか、あまり周囲に大きなリアクションは感じられなかった。それでも帰る頃にはベビ札は床の上には残っていなかった。バラマキ大作戦はひとまずは大成功。


 続いて紙芝居が入る。なぜか燃える松岡修造が登場する。一度つかんだ天下を捨てて新しい世界に邁進する彼だからなのだろうが、かなり微妙な紙芝居だった。ジョークなのか? 本気なのか? 
 三人がこれまた不思議なカンフーか空手かがわからない微妙な振り付けの新曲を披露してくれた。バックのリフが凄まじいからかまるでメロディが聴き取れなかった。とにかくギターとベース、ドラムが凄まじいことこの上ない。振り付けが面白いところがすべてだったろうな。今後の展開を期待したいところだ。

 そして、「ちがう、ちがう」が始まる。もうライブで二回聴いているこの歌もまだ正式名称が発表されていない。新曲のタイトル未定のまま認知されて大分後になってからタイトルが告知される。こういうバンドも珍しいのではないか。新曲のタイトル未定のままBABYMETALは猛進する。


 TMの横浜アリーナ観戦記 其の玖


「きつね〜、きつね〜、私はメギツネ〜。」
 和のメロディがシッカリ鳴り響く「メギツネ」はやはり外せない。こういう曲を新譜にも入れて欲しい。この後、IDZ、ヘドバンギャー、RORへと続く。WODも戦国WODも良いのだが、シート席ではあまり良さが感じられないと思ってしまった。

 怒涛の曲間圧縮で幕を閉じるかと思われた。しかし客電は付かない。
 BABYMETAL!! パン! パン!、BABYMETAL!! パン! パン! 
とBABYMETALの炙り出しを試みる。すると、ステージから客席に幾つもの光が伸びる。そしてスフォックスの上からピラミッドのゴンドラが登場する。三人がそのピラミッドに乗って歌を歌う。
「新曲La La La(仮名)」驚いたのは、そのピラミッドは横アリの中を1周する。僕らの席の前を通過する。まさかこんな距離で三人を観ることができるなんて、誰が想像できたろうか。
ここまでエンターテーメントに徹したライブはちょっと考えにくい。

 We Are The One!  La La La La ♫

 この曲がこの横アリの全てを物語っていた。新譜発売の情報も、感動はしたけれど、やはり歌がどうかなんだと思う。僕の横アリはやはりこの「新曲La La La(仮名)」の存在に尽きる。
 ありがとう、BABYMETAL。
 ありがとうみんな! また来るよ。

 We Are The One!  La La La La ♫

 The End!  See You!