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ギタリスト・スーパースター列伝 by まるちゃん

 まるのギタリスト・スーパースター列伝Vol.1

 Yngwie Malmsteen №1(かつては「(日本語で)イチバン!」が口癖だったなぁw)

 んじゃ、簡単な人物紹介から。
 本名「Yngwie Johann Malmsteen(イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーン)」。
 1963年6月30日生まれだから現在御年52歳。スウェーデンの首都ストックホルムにあるヘッセルビューという街で育つ。
 イングヴェイ…...、今でこそ当たりまえのように馴染んではいるが、デビュー当時は「イング…? なに?」ってな感じで発音しにくく「ヘンな名前」と思ったのは僕だけではないハズ。
 名前の由来に触れておくと、彼曰く、「イングヴェイっていうのは大昔のヴァイキングに由来しているのさ。で、ヴァイキングの神にイングヴェイ・フレイ(Frey)という神がいてね。ラスト・ネーム(マルムスティーン)は、マルムが銀でスティーンが石を意味していて、俺の祖先が銀山を発見して1622年に国王からマルムスティーンという姓とナイトの称号を与えられたんだ。ミドル・ネームのヨハン、(敬愛する)バッハと同じだろ?(笑)」だってw。彼の幾多の名(迷?)語録に「俺は貴族だ」みたいなのがありますが、この辺に起因するんですねw。

 家族構成の振り返りも、彼のバック・ボーンを語るうえでは大切。
 彼の活動を常に支えた母リグマー・マルムスティーンが、かなりのクラシック・アルバムのコレクターであったこともあり、物心付くか付かないかの頃から音楽に囲まれていたそう。羨ましい。これが後のクラシカルな部分の素養になっていったのかも。兄弟は、姉(ロロ)と兄(ビヨン(故人))、本人の3人。姉のロロはフルート奏者で、弟イングヴェイのアルバム「Fire And Ice(オリコン(!)1位)」でオーケストラ・パートに参加。電車の運転手だった兄ビヨンも多彩な楽器奏者だったが、1990年、不慮の事故により28歳という若さで他界。この兄を想い、後に「Brothers」というインスト・ナンバーを残してます(泣きの名曲&名演!)。

 このように、音楽に囲まれた家庭環境で育ち、3歳でピアノ、5歳でアコースティック・ギター、6歳でトランペットを与えられるも興味を持たずほったらかし。
 そんな彼を音楽の道に導いた最大の功労者? は、姉のロロ。彼、プラモデル作りにハマってたんですが、7歳のときにテレビ放映されたジミ・ヘンドリックスの追悼番組を姉から薦められて観たところ、「なんだかカーッと熱くなって『俺もギターを弾きたい!』って思ったんだ」そう。
 立て続けに8歳の誕生日に、これまた姉ロロからディープ・パープルの「Fireball」をプレゼントされ、衝撃を受けたイングヴェイ少年は翌日にはレコード店に「In Rock」を買いに走っていた。続けて「Machine Head」、「Made In Japan」を手に入れ、それこそ盤が擦り減るまで聴き込み、ブラックモアのコピーに明け暮れる日々を送る。学校時代、自分の事を“リッチー”と呼ばないと返事しなかった、なんてエピソードが実に微笑ましいw。
 そんなこんなで10歳そこそこでリッチーのプレイは、(ライヴのミスも含めて)完璧にコピーして(飽きて)しまい、次のステップへと移るのでした…。この頃のイングヴェイ少年について、姉ロロは「何をするにも飲み込みが速くて何でも巧くコナせたし、興味を持った事にはトコトン夢中になってたわ」と仰っております。

 おっと、全然簡単じゃなかったわw。文章ばっかりじゃキツいね。ここまでで関する曲をば。

Yngwie Malmsteen / Overture 1622(Magnum Opus(1995))
https://www.youtube.com/watch?v=tzTPUuXs370
 
⇒1622はナイトの称号を授かって貴族になったっちゅう年w。メイン・メロディはモーツァルトの「交響曲第25番ト短調K.182:第1楽章」から。ご紹介の動画はレクチャーものです。ついでにモーツァルトの元ネタも↓。

Wolfgang Amadeus Mozart / Symphony No. 25 in G minor
https://www.youtube.com/watch?v=7lC1lRz5Z_s

Yngwie Malmsteen / Brothers(The Seventh Sign(1994)) ⇒オーケストラ・バージョン
https://www.youtube.com/watch?v=5jkNRE6jNA8


 まるのギタリスト・スーパースター列伝Vol.1

 Yngwie Malmsteen №2 母国

 彼の母国スウェーデン。今や数多くのメタルバンドを輩出し、メタル・ミュージックが活発な北欧圏の一国ですが、彼の青春時代の頃の音楽シーンはそうでもなかったんですわ。
 曰く「ヒドかったよ。全くヒドかった」「1982年にナショナル・ロック・コンテストでヨーロッパ(親友J・ノーラムのね)が優勝し、俺が渡米して名が知れ渡って、そこで初めてスウェーデンの人々は『ヘヴィ・メタルは大丈夫だ』と気付いたんだ。いいかい、『大丈夫だ』だゼ。それまでは、それっぽいの(HM)やってるだけで逮捕されることもあったんだ。マーケットなんかあるわけないだろ!」…ホントかいな? スゴいね。
 ヘンドリックス、ブラックモアを経て、次に彼の興味を引いたのがジェネシス。これまたお姉ちゃんのロロが聴かせてあげたのがきっかけなんですが、クラシカルなコード進行に惹かれたとのこと。ちなみに母リグマーと姉ロロはジャズも好きだったが、イングヴェイ少年には響かず…。
 その後、バッハやヴィヴァルディ等、母が所有するアルバムを聴き漁りクラシックに傾倒、ある日ふとテレビで観たニコロ・パガニーニを弾くギドン・クレメールに釘付けとなって以降、アルペジオ奏法に没頭、エレクトリック・ギターにおける革新的なプレイを次々と生み出す、ってのは知られた話。「ジミ・ヘンドリックス以来の衝撃だった」と語っております。

Nicolo Paganini / Capricci Op.1:Ⅴ. A minor
https://www.youtube.com/watch?v=HLgBejh5TLA
イングヴェイも好んでよく弾くカプリース第5番。1994年、イングヴェイ・リスナーのため?にリリースされたCD「The Classical Roots of Rock Guitar」に収録された奏者と同じ、アレクサンドル・マルコフによるプレイをどうぞw。

 そして13歳のときに初のバンド「パワー」を結成、ヘンドリックスやD・パープルのカヴァーを得意とし、その後「バーン」「パワー・ハウス」「ライジング」等々のバンドを組んではバラし…を繰り返すのでした。
 この頃、ジョン・ノーラムとは既に仲良しこよしであり、ヨーロッパの前身バンドとは良きライバル関係だったそうで。Vo.のジョーイ・テンペストがイングヴェイのバンド名(パワー・ハウス)をパクッたとかで、「『いい加減にしろ!バンド名を変えないと頭カチ割ってやる!』って脅してやったのサ(笑)」だって。んまぁガラの悪い。
 そんなバンド歴を経て、1978年だから15歳くらいだネ、自己の音楽性を高いレベルで追及するため「Rising Force(ライジング・フォース)」を結成する。この頃、既に“あの”プレイ・スタイルはほぼ確立されていたっつうんだから天才とは恐ろしや。そう、軽々しく天才と言うもんでもないが、誰ぞやあるミュージシャンが言ってた。「彼(イングヴェイ)はまさに天才。他は秀才」
 まぁ、バンドといっても彼が全ての決定権を握る“絶対王者”であり、こんなコト仰っております(迷言)「俺の言うことは絶対さ。(物事を決めるのに)3つの道あった。“ライト・ウェイ(rihgt way)”、“ロング・ウェイ(wrong way)”、そして“イング・ウェイ(=イングヴェイ)”だ!(笑)」
 その一匹狼的な性格からなのか、彼の音楽的水準に付いていけるメンツが乏しかったからなのか、バンドは5年の間に実に25回!のメンバー・チェンジを繰り返し、ラインナップは固定しなかったと。今でもそうだけどw。この頃のバンド・メンバーにはマルセル・ヤコブ(故人)、イアン・ホーグランドやジョン・レヴィンといったヨーロッパのメンバー等、スウェーデンでは名うてのミュージシャンが在籍していたんですねぇ。

 その頃(1981年)のイングヴェイ少(青)年の天才っぷりを垣間見れる母国スウェーデンでの貴重なライヴ・ショットがあるので観てみよう。ギター・ベース・ドラムのスリー・ピース編成で、Vo.はイングヴェイ君とベーシストが担当。ドラムは全然映らなくて可哀そうw(でも結構イイな)。
 よぉ~く聴くと後のアルバムに収録される曲のパーツが登場する。オープニング「Merlin’s Castle」には「The Wizard(War To End All Wars)」と「Rising Force(Odyssey)」のキメ・フレーズ(2本弦小スウィープ)が!(3:17あたり)。2曲目の「Now Your Ships Are Burned(Rising Force)」なんてマンマ。イングヴェイが野太いVo.を披露してますネw。さすがにソースがソースだけに古さを感じるけど、イングヴェイのプレイはクリア!に突き抜けてくる。御年18歳、年齢というよりこの時代にこのプレイ、驚きだゼェ~。右手の上げ方とか、アクションが控えめ?なのが微笑ましいw。

Yngwie Malmsteen / Live in Sweden(1981)
https://www.youtube.com/watch?v=PvyA5yHnfg8

 ううぅ~~むむむ…、なかなかアルバムに辿り着けないなぁ。だぁ~いぶ端折ってるんですけどね。でもゝ、既述の通り既に音楽&プレイ・スタイルがほぼ確立されていたというこの時期は意外と大切だったりするので、もう少々w。


 ギタリスト・スーパースター列伝Vol.1

 Yngwie Malmsteen №3 母国から新天地アメリカへ…(笑)

 そんな実質ソロ活動みたいなバンド活動でしたが、彼の名は徐々に広まっていき、デモを耳にしたスウェーデンCBSからレコードのオファーが舞い込み、2曲ほどレコーディングするもディールの問題等でお流れ。しかし、この時のデモ・テープがアンダーグラウンドで世界に流れ、あの“ギタリスト発掘名人(笑)”なる異名を持ったマイク・ヴァーニーの目に留まることとなり、Guitar Player誌(アメリカ)のコラムで紹介したところ、これが大反響に。世界各国から2,000通ものファン・レターが届いたなんて逸話もあり。これにはマイクもびっくり仰天、アメリカに来てチャンスを掴むよう提案、イングヴェイも当時のスウェーデンでは限界と感じ、渡米を決意したのでした。これが、後の彼のサクセス・ストーリーの第一歩となる、運命の日1983年2月3日なのであります。この時、イングヴェイ19歳。
 この時期、彼は、あるメンバー達とデモ・テープをレコーディングしております。そのメンバーとは...、そう、Rising Forceの初期メンバーを支え続けた、シルヴァー・マウンテンのイェンス(Key)&アンダース(Ds)のヨハンソン兄弟であります!このイキサツについて俺様イングヴェイはこう申しております…。「(S・マウンテンのGt.ヨナス・ハンソン以外のメンツと活動したことについて)俺がヨナスと入れ代わってS・マウンテンに入ったって?そいつは違うゼ。俺がヨナス以外の奴らを引き抜いてやったのサ。ヨナスは身体も態度もデカくて俺と同じギター弾きだったからソリが合わなかったんだ。マ、俺もそうだったけど(笑)。でも、この違いはデカいぜw」それはともかく(笑)、このとき既に「Black Star」「Now Your Ships Are Burned」「Evil Eye」「Anguish And Fear」「Magic Mirror」「Riot In The Dungeons」等、後々彼を代表する曲は、ほぼ完成していたというのだから恐ろしい。

 いよいよ単身LAに殴りこみに来たぞ!記念すべき1983年2月3日だ!(さっきも言った)。余談だが、この渡米の際、呼び寄せたマイク・ヴァーニーは飛行機のチケット代も払ってくれず(渡米費用は母親が全て負担してくれた)、ビザもなかなか下りなかったり、母国の兵役義務も僅か3週間で追い出されたりと、苦労したり色々あったみたい。
 大志を抱いてやってきたイングヴェイ青年...、「さあ、ソロ・アルバムを創るぞ!!」と意気込むも、思い描いていたシナリオとは全ぇ~ん然!違う話なのでありました。
 彼を待ち受けていたのは、ロン・キールを中心とする「Steeler」というLAのバンドへの半ば強制的な加入だったのでございます。メンツはマーク・エドワーズ(Lion)、リック・フォックス(W.A.S.P.)と当時のLAでも名の通った面々ではあったが…。
その時、リーダー格のロンとこんなやりとりがあったとか。
「最初、ロンからこんな電話があったんだ。『ヘ~イ!LAのロン・キールだけどマイク・ヴァーニーからキミのこと聞いてサ。凄いギタリストなんだって? オレ達もコッチ(LA)じゃ結構ビッグなバンドなんだゼ』。俺(イングヴェイね)は『クラシックの影響は受けているのかい?』なんてマジメに聞いてみたりしてネ(笑)。そしたら奴は『ウ~ン、どっちかっていうとAC/DCっぽい感じかナ』だってよ(笑)。ホント、奴には騙されたゼ。シングルもリリースするとか言いやがって。今みたいに情報源も無いから俺も信じちまったよ。『本当にビッグなんだ』ってね。野郎、『俺達は豪華な邸宅に住んでるんだ。バンドのトレーラーはあるしローディーもいる。スペシャル・エフェクター(笑)も色々あるぞ』なんてインチキを長々と綴った手紙まで送ってきやがって。んで、俺は考えた。『悪い条件じゃないな。とりあえずこのバンドでアルバム作って、ちょびっとツアーに出て、後は自分のやりたいようにやるサ』ってネ」

 そう、元々Steelerに長居するつもりは微塵も無かったっちゅうことです。環境も劣悪だったようで、「倉庫みたいな場所サ。壁にはナイフが刺さってるわ、歯を磨こうとして水道をヒネったら『何じゃコリャ!』っていう茶色のヒドい臭いの水が出てくるわ...。ニワトリ小屋の隣の納屋のビリヤード台で寝てたんだけど(これもスゴ)、腹が減ってニワトリ小屋からタマゴを取ってきて目玉焼きを作ろうとフライパンに割って入れたら、ヒヨコの死骸が出てきた!まるでホラー・ムービーだよ。しばらくはタマゴが食えなくなった」。
 肝心のレコーディングはというと、「たったの1日でレコーディングしたんだ。1音も漏らさず全部1日サ。ヒドい話だろ?」。レコーディング後、ツアーに出てあっという間に辞めてしまうのだが、こんな逸話も。「ある夜、俺とマーク(エドワーズ)とロン(キール)の3人で話をしているうちに、俺がペンタグラム(魔除けの五角星形)や“666”の事を話題にしたんだけど、そしたらロンの奴が俺の事を怪しいヤツだと思い込んだらしくてね。マイク(ヴァーニー)に『イングヴェイは悪魔だ』なんてほざきやがった(笑)。マイクは信心深くてさ、俺に『このままではバンド活動が続けられない。キミはスウェーデンに帰りなさい』。で、連中は新しいギタリストを探したけど見付からなくって、仕方がないから俺が1日でレコーディングして、ツアーに、そうだな、10回ちょっと出たかな?ショウは全部俺がもらっちまったけどね(笑)。メンバー、特にロンの嫉妬も凄くてサ。そんなんでとっとと辞めちまったよ。だから、俺がSteelerに居たのは2月初めから4月頃までかな」

 ライヴの話に関しては大袈裟でも何でもなく、出演したクラブのトイレには「Yngwie is God!」の落書きがあり、開演前のオーディエンスからは「Fuck the Steeler,Yngwie is God!」の連呼があったというから、耳の肥えたアメリカ、LAの聴衆にもかなりの衝撃度で突き刺さったのだろう。こうしてLAのシーンをカキ回しているところに、ロニー・ジェイムズ・ディオやオジー・オズボーン、フィル・モグ(UFO)等も、イングヴェイ青年の壮絶なプレイを目の当たりにしており、巡り巡ってグラハム・ボネットと接触することとなるのであるが、これはAlcatrazz編までとっておこうw。
 今回は音楽と全然関係ない話ばっかりになっちゃいましたねw。ゴメンなさい。
 じゃ、また次回~~。今度こそアルバムだっ!!w


 ギタリスト・スーパースター列伝Vol.1

 Yngwie Malmsteen №4 Steeler

 ほんじゃ、アルバム「Steeler」ですね。まぁ、記念すべきメジャー・デビュー作なんですが、いかんせん曲はイングヴェイ加入前にほぼほぼ出来上がっていたらしく(イングヴェイは4曲書いたらしいが)、音質のチープさも手伝って、いわゆるB~C級のLAメタルっつう感じ。またロン・キールの歌唱が悲しくってね。その曲に切り込んでくるイングヴェイの誰もやったことのないクラシカルなシュレッド・ソロが極めて特異な印象を与える。
 が、違和感は無い。流石!「No Way Out」のイントロのアコースティック・プレイは聴きモノだし、「Hot On Your Heels」の冒頭の3分強のアコースティック⇒エレクトリックのソロ・プレイなんて、ハーモニック・マイナーや3本弦アルペジオやら、既にスタイルの完成形を観ているようだ(チョッと粗いケドね。
 あ、勘違いしないでくださいね。あくまで本人比ですw)。しかし、なんでこの構成? 後半の歌モノ要らねえだろ? と、常々思う次第w。まぁ、本人も「クソ」と言っている通り、ヘビロテするようなアルバムではないかな。しつこいが、このVo.、なんとかならないもんでしょうか(ならない)。じゃあ、とりあえずアルバム収録の曲紹介を。曲順不同w。
 あ、それと誤解の無いように。僕は、以前ここメ学で「‘80年代ってよかったね(だったか?)」どうのこうので書かせて頂きましたケド、LAメタル自体は好きですよw。Rattとかね。

Steeler / Hot On Your Heels
https://www.youtube.com/watch?v=EGzLLpa5XoE
 本文中記載の通り。4曲目。正味6分30秒強のうち冒頭約3分40秒がイングヴェイのソロ。軽~い名刺代わりのアコースティック・ソロから当時としてはいきなりのスピード違反の一発免停w。曲(歌もの部分)が始まるまで他のメンバーがじぃ~っと待ってるかと思うと笑える。

Steeler / No Way Out
https://www.youtube.com/watch?v=-G3Ketvo70s
 3曲目。これも本文中にちょろっと触れた。AlcatrazzのStarcarr Laneをちょびっと想起させるメロディーライン。

Steeler / Cold Day In Hell
https://www.youtube.com/watch?v=go582lMotR4
 アルバム1曲目を飾るオープニング・ナンバー。当時ならどこにでも転がってそうなLAメタル。バッキングをツマらなそうに弾いている姿と時折「邪魔だ!どけ!」と言わんばかりに切り込んでくる姿が思い浮かぶ。実際はそんなことないだろうけどw。イヤ、彼のことだからありそうで怖い。あ、誤解の無いように言っとくと、イングヴェイとか、あとはそうですねぇ、インペリテリとか、とかく速弾きが目立っちゃうギタリストはソロ・プレイに目(耳?)がいきがちですけど、当然リフなどバッキング・プレイもピカイチです。念のため。

Steeler / Abduction
https://www.youtube.com/watch?v=m9obmk-lL18
 5曲目の短いインスト。Alcatrazzの「Incubus」にも通ずるようなイイ感じのメロディ。もうちょっと聴いていたい、と思うとこでやめるのがミソ?これが今の彼なら、スキ間が無いくらい詰め込むんだろうなぁ。ドゥルルル…ってねw。次曲のOn The Roxでフツ~のLAメタルに戻っちゃうんですけどw。

Steeler / Serenade
https://www.youtube.com/watch?v=eoiL6-XpDUc
 アルバムのラストを締め括るバラード。曲は悪くない、というか好きだ。AlcatrazzのSuffer Meみたいだし。でも...、このVo.が…。

 他は、「Backseat Driver(2曲目)」、「On The Rox(6曲目)」、「Down To The Wire(7曲目)」、「Born To Rock(8曲目)」と、全9曲だっ!興味があれば是非ゼヒ!!

 ふうぅ…、これ書いている間に新譜リリースしてくれないかなぁ?。

 突然ですがイングヴェイのニュー・アルバムあるあるw。

 新譜リリース
⇒ファン(僕も)、初日に買う
⇒ 今回はどんなだろ?インタビューでは『今回はこれまでと違うゼ。いろんなタイプの音楽が込められている。まさにイチバン!だ』なんて言ってたけど(ワクワク)」
⇒帰宅。CDプレイヤーにON!
⇒.........やっぱりいつも(前作)と同じ。
⇒「イヤ、何かが違うハズだ!」と一生懸命聴いて違いを探しまわる
⇒やっぱり同じ。
⇒「よし!次回作に期待だ!!(笑)」
⇒「Rising Force」or「Trilogy」を聴く(ここまで同じ一日)。

 閑話休題、次回はグレイト・ヴォーカリストと組んだAlcatrazzだっ!
 

 ギタリスト・スーパースター列伝Vol.1

 Yngwie Malmsteen №5 Alcatrazz ~咆哮するストラトキャスター

 Steeler編でも書きましたが、僅か10回そこそこのショウではあったがLAでイングヴェイの存在はかなり知れ渡ることとなり、メタル界の重鎮、ロニー・ジェイムス・ディオ、オジー・オズボーン、UFOのフィル・モグ等々が誘いをかけてきたという。それらの中から、グラハム・ボネットと手を組むこととなるのだが、その前にこんなエピソードが。
「まずフィル(モグ)が俺のショウ(Steelerね)を観に来て、次の日グラハム(ボネット)から連絡があった。俺の前にシンガーが二人現れて、選択を迫られたというわけサ。フィルとはこんなやりとりがあった。二人ともハンバーガー・スタンド(笑)の前に居たんだ。俺が『どんな音楽をやりたいんだい?』と尋ねたら、フィルの答えは『グッド・ミュージックがやりたい』と。『(俺)うん、わかったよ。で、どんな曲をやりたいの?』『(フィル)グッド・ソングをやりたい』『(俺)…?えっ?何?どういう意味?』『(フィル)ハンバーガーはどれにする?』『(俺)あのサぁ、俺はどんな音楽をやりたいか聞いてるんだけど…』まぁ、そんなんで俺はグラハムとやることにしたのサ(笑)グラハムの声の方がイイと思ってたしね」

 Rainbow、MSGといったスーパー・バンドを経験し、当時“悲劇のヒーロー”などと呼ばれていたグラハム・ボネットを核として、元ニュー・イングランドのゲイリー・シェア(Ba.)とジミー・ウォルドー(Key.)、元アリス・クーパー・バンドのヤン・ウヴェナ(Ds.)、そしてイングヴェイの5人編成でAlcatrazzは結成された。これが1983年の夏だからイングヴェイ20歳前後の時ですね。トントンと事は進み、同83年12月(アメリカは84年3月リリース)にアルバム「Alcatrazz(No Parole From Rock’n’ Roll)」でデビューを飾るや、早くも翌84年1月には記念すべき初来日公演も果たすのでした。この日本公演(中野サンプラザ)、CDとビデオでも音源化されております。
デビュー・アルバムのライナーは伊藤政則氏によるものなんですが、ジャケ帯のフレーズは結構有名なのでは?
 “泣くがいい。声をあげて泣くがいい。その涙は新しい時代を呼ぶ水晶となってアルカトラスの元に届くことだろう。この感動こそがロック新時代突入の証しなのだから…。”
んで、ライナー本文の出だしより。
 “信じられないようなグループの出現だ。「救世主」という表現が決してオーバーな表現ではないし、ちょっとした革命的なパニックが起きそうな、そんな熱気が伝わってくるアルバムである。”
おっ、イイことおっしゃいますネw。このアルバムの特筆すべき点でもある、濁りの無いどこまでも透明感のある(ギター)サウンドは、“水晶”という言葉と妙にマッチする(と思う)。

 話を戻しますが、イングヴェイがグラハムと組み、Alcatrazzに加入するに至ったイチバン大きな理由は、やはり“曲を創れる”という環境があった、ということでしょう。つまり、グラハム含め他のメンバーにも曲のアイディアどころかヴィジョンも何も無かった…。イングヴェイは「『これはチャンスだ。バンドのソングライターになれる』と解釈したんだ」と語っております。この辺りのくだりは、以前MEF-METALさんも解説されていたと記憶しております。ただ…、残念ながらAlcatrazzも長続きせず。理由はこれまたメンバーとの確執。特にグラハムとは日に日に険悪な仲となり、最後は収拾つかずツアー終盤で大ゲンカの末、脱退。Ds.のヤン・ウヴェナとは(としか)ウマが合わなかったそうで。どこぞのショウで、イングヴェイのギター・ソロの最中に(グラハムが)シールドを引っこ抜いちゃったなんてウソみたいな話もあったり。そりゃダメだろw。

 そういえば、2000年1月の某YG誌にてイングヴェイと奇才スティーヴ・ヴァイの巻頭インタビューがあるんですが、当時をこんなふうに振り返っております。ってか、この二人揃ってのインタビューって凄いネ。
「(スティーヴ)Alcatrazzはイングヴェイが脱退した後も契約で2公演残っていてね、急遽僕が加入したんだけど、何もかもが急でサ、リハーサルも1日しか出来なかった。それで、あのプレイだろ?誰もあんなプレイを聴いたことが無かったし、イングヴェイと同じように弾けるわけもないから、ソロに関しては開き直って自分なりのプレイをするしかなかったよ(笑)。で、ショウに臨んだんだけど、オーディエンスは“イングヴェイ脱退”の事実を知らされてなくてね、開演前は『イングヴェイ!イングヴェイ!!』の大合唱サ。そこに僕が登場すると、『オイ!あれは“何”だ?』って感じだよ。『あれは“誰”だ?』じゃなくて『“何”だ?』だよ!歓声がブーイングに変わっちゃって大変だったけど、『わかった、わかったよ。今から弾くから、みんなとにかく聴いてくれ!』って感じだったね(笑)」
…まぁ、後々の笑い話として微笑ましいですけど、奇才スティーヴの超絶テクをもってすればイングヴェイのプレイも問題無かったでしょう。ただ、そこは超々一流のプロ!例えば「Too Young To Die,Too Drunk To Live」のアルペジオ・ラインなんかは、本家イングヴェイが3本弦スウィープで世に披露したのに対し、スティーヴは彼の代名詞の一つでもあるボスハンドタッピングで(強引に)コナすなど、己の個性・独自性を如何なく発揮していたのでありました。

 しかし、このAlcatrazz...、スティーヴ加入後の2nd「Disturbing The Peace」では雰囲気がガラリと一変、そこに1stの(イングヴェイの)面影は微塵も無く、完全なヴァイ・ワールドとなってしまいます。インタビュアーからも「他のメンバーは何してたの?」なんてツッコミが入っちゃって、イングヴェイとヴァイ双方から「ギタリストでありソングライターでもある人間が交替したんだからね、しょうがないよ。特に俺達みたいな我の強い強烈なヤツだったら尚更サ(笑)」なんてフォローされてる始末w。
 まぁたまたイントロダクションが長くなってしまいましたw。でも、若かりしこの頃ってエネルギッシュだったし、結構な人物模様というかドラマみたいなのも見え隠れして改めて面白いな、と思う今日この頃。その後も珍?言動などで笑かし…もとい魅了し続けてくれるのですがw。じゃ、イングヴェイが全曲作曲を手掛けた実質デビューとなるこの名盤、曲の紹介にいってみましょ~。

Alcatrazz / Island In The Sun
https://www.youtube.com/watch?v=cOThN1ek7fg
 栄えあるwキャッチーな1曲目。イングヴェイって自自身のアルバムでもこういったキャッチーな曲を入れたりするんですが(最近は無いなぁ)、僕は結構好きなんスよねぇ~。元々キャッチー系大好きだし。G・ソロもコンパクトで秀逸な仕上がりだと思います。速弾きも当時のキッズは「ウォッ」ってなったことでしょう。プロモではおね~ちゃんも出てるし見た目重視かな?アリアのFVタイプを弾いてますネ。やっさん(グラハム)は相変わらずやっさんですw。

Alcatrazz / General Hospital
https://www.youtube.com/watch?v=MMnV9XNK6uU
グラハムの超絶シャウト&ムーディ(笑)な歌いっぷりがGoodな2曲目。流石!です。で、注目したいのはギターのサウンド。特にバッキング、リフ部分。このストラトのトーン、たまんねぇ~~。今と全っ然違うぅ~。みなさんはどうですか?

Alcatrazz / Jet To Jet
https://www.youtube.com/watch?v=cTisTwxktvQ
説明不要? の3曲目。みんな、コレがイチバン好きなんじゃない?リフはRainbowのSpotlight Kid似?ソロ入口の光速ハーモニーはキッズがこぞってチャレンジしたハズ。このパターンはよく出てくるので覚えておくようにw。コレが世に出た頃は、あまりに見事なハーモニーwに「スローテンポで弾いたのをテンポアップしている」なんてコメントもあったような。フツ~にライヴで再現してるんだけどね。メッチャ動きながらw。

Alcatrazz / Hiroshima Mon Amour
https://www.youtube.com/watch?v=ZSkT-w-N5NY
これも当アルバム代表曲の一つでしょう。いきなりイングヴェイのギター炸裂!で始まる曲構成、こういうのって新鮮だったのでは。そして歌い上げるようなメロディ...、そう、彼の凄いところの一つに速かったり難解なんだけど“歌えるメロディ”ってのがあると思う。

Alcatrazz / Kree Nakoorie
https://www.youtube.com/watch?v=5yllFLf3eEc
コイツもたまらんねw。イングヴェイってこの手のソロー・テンポで泣きのメロディ弾かせたら天下一品だなと再確認した次第。ソロの構成、よぉ~く聴いてみて。1音1音クリアでしょ。練習の素材としては最適ではあるまいか。

Alcatrazz / Incubus
https://www.youtube.com/watch?v=cpPvLsiSE00
1分半弱の短いインスト・ナンバー。アコースティックの美しい調べが実に印象的。

Alcatrazz / Too Young To Die,Too Drunk To Live
https://www.youtube.com/watch?v=7wP5qOoLelg
本文の奇才スティーヴとの対談エピソードでも触れてます。ミディアム・アップくらいのシャッフル・ナンバー。なのでライヴのオープニングに抜擢されたか?彼の代名詞の一つ、3本弦スウィープのプロトタイプ的なプレイが登場。逆にこういうスピードを殺したようなスウィープは練習しといて損は無いかナ?

Alcatrazz / Starcarr Lane
https://www.youtube.com/watch?v=eL3sGCKsIT8
これは名曲!だと思う。美しいギターのハーモニーとソロ、キャッチーでありながらどこか哀愁を帯びたメロディ、適度なテンポ、好きだなぁ~~。ライヴでも披露されてない(と思う)から埋もれがちだけど、隠れた名曲に認定!w。

Alcatrazz / Suffer Me
https://www.youtube.com/watch?v=9SMmcqCcTs0
アルバムのラストを締め括るバラード。グラハムさんの暑苦しいながらも切々と歌い上げる歌唱が印象的。流石っすわ。

Alcatrazz / Alcatrazz(No Parole From Rock’n’ Roll)1983Full
https://www.youtube.com/watch?v=ZquPFVkmEos
 とにかくこれ、名盤なんですよ。だからほぼ全曲紹介になっちゃうw(1曲だけ抜いたけど。大した意味はありませんw)。以前のコメで「グラハムは好みじゃない」的なコトほざきましたが、あくまで個人的な嗜好の話でそれは変わりませんが、客観的にはやっぱりグレイト!だと思います。歌聴いてても、どうしてもあのヴィジュアルが思い浮かんじゃうんですけどねw。

 長えぇ~わw。Alcatrazzだけでこんなになっちゃった。でも、Live Sentenceもあるよ~~。